ATRは、価格の動きに翻弄されやすい初心者トレーダーにオススメのインジケーターです。
例えばFXでは、通貨ペアに応じてボラティリティ(価格変動幅)が大きく異なります。
ATRは、通貨ペア・銘柄に応じたボラティリティを分かりやすく計測できるツール。
他のインジケーターや手法と組み合わせることで、より分析・取引の精度を上げられるでしょう。
注意
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ATR(Average True Range)とは?
ATR(Average True Range)とは、価格のボラティリティから買われ過ぎ、売られ過ぎを判断するテクニカルツールです。
買われ過ぎ・売られ過ぎを判断しますから、いわゆるオシレーターの一種と言えるでしょう。
ATRは、PivotやParabolic SARの開発者でもあるJ・W・ワイルダーによって考案されました。
先物取引がベースですが、FXにおいてATRを始め、Pivotも海外トレーダーの間では広く活用されています。
ATR(Average True Range)の計算式
ATR(Average True Range)を日本語に翻訳すると「真の変動幅」となります。
名前の通り、ATRの計算式は、価格差を軸に使っており、価格変動場幅(ボラティリティ)を算出できる仕組みです。
- 当日高値と当日安値の差
- 当日高値と前日終値の差
- 当日安値と前日終値の差
具体的に、ATRの計算式は上記3つで構成されてます。
それぞれの価格差の中から、最も大きい変動幅をピックアップし、期間内の平均値を出したのがATRの正体。
単純な引き算ですが、単純であることが重要です。
銘柄の純粋な価格変動から算出することで、先物取引発祥ながらATRがFXでも有用性があります。
例えば、Aという商品にのみ作用する特殊な数字が組み込まれていれば、他の商品で応用が効きません。
ATRは、ドル円ならドル円の価格変動から算出しますから、FXを始め、FX業者で取り扱う貴金属や株価指数にも応用可能です。
【初心者向け】ATRのMT4・MT5で表示するには?
ここでは、初心者向けに、取引ツールMT4・MT5でATR(Average True Range)を表示する方法を解説します。
本記事では、MT5の操作画面を使って解説しますが、MT4およびWebTraderも同様の手順です。
【PC版】MT4・MT5でATRを表示する方法
PC版のMT4・MT5でATRを表示するには、上部メニューの「挿入」をクリックしましょう。
「インディケータ」→「オシレーター」の順にカーソルを移動させるとオシレーター系のインジケーターが表示されます。
一覧から「Average True Range」をクリックしましょう。
ATR(Average True Range)の設定画面が表示されます。
ATRの期間設定は、考案者であるJ・W・ワイルダー氏によって14期間が推奨されていますから、基本は14期間のデフォルト設定で問題ありません。
また、色や1時間足など特定の時間軸にのみ表示したい場合もあると思います。
色や線の太さは「パラメーター」→「スタイル」から変更可能です。
設定が完了しましたら「OK」をクリックします。
チャート画面にATR(Average True Range)が表示されます。
こちらの画像の様に表示されていればOKです。
【スマホ版】MT4・MT5でATRを表示する方法
スマホ版のMT4・MT5でATRを表示するには、赤丸部分のアイコンをタップします。
「インディケータ」のメニューが表示されます。
「メインウィンドウ」の横にある+アイコンをタップしましょう。
インジケーターの一覧が表示されます。
「オシレーター」の中から「Average True Range」をタップしましょう。
ATRの設定画面が表示されます。デフォルトの数値設定でも特に問題はありません。
ATRの見た目、色や線の太さを変更したい場合は、スタイルから設定できます。
PC版と違い、スタイルをタップしてからでなければ、線の太さ等は変えられません。
最後に右上の「完了」をタップしましょう。
ATR(Average True Range)がチャートに表示されました。
スマホ版のMT4・MT5では、チャート別にインジケーターの表示設定はありません。
ATR(Average True Range)を一旦表示すると、非表示設定にしない限り、全てのチャートに表示されます。
ATRの基本的な見方
ATRの基本的な見方を解説します。
ATRの見た目は、同じオシレーターであるRSIやCCIとほとんど差はありません。
しかし、ATRの計算式で触れた様に、かなりシンプルな構成が特徴です。
単純なシグナルというよりは、ATRの変動から「トレンドの発生」や「トレンドの勢い」を視覚的に見やすくするといった働きがあります。
ATRは、計算式に組み込まれる値を元に、価格の変動幅を示しています。
したがって、ATRが示すのは、文字通り「純粋なボラティリティ」です。
ATRが増加したことで間違いなく言えるのは、価格が大きく動いたこと。
一方で、チャートや他のテクニカルツールからトレンド転換や、押し目パターンが一緒に確認できれば、優位性があると判断できます。
つまり、ATRは、純粋に価格変動だけを示すため、他の判断材料が必須です。
- 【ATRが上昇・転換チャートパターンを形成】新しいトレンドが発生し、力強いトレンド初動が起きた
- 【ATRが下降・三角持ち合い】レンジ相場へ移行した可能性が高い
- 【ATRの動きが少ない・高値圏で価格が推移】天井圏としてレートが意識されている可能性が高い
例えば、ATRと他の情報(値動き・パターン・インジケーターなど)と組み合わせると、上記の様な考え方ができます。
ATRは、他のテクニカルと一緒に使用するのがオススメです。
ATRを使ったシンプルFX手法
ATRは、前述した通りに他のインジケーターやテクニカルと一緒に使うと効果的です。
したがって、ATRを手法に取り入れる時は、他のシグナルと組み合わせると良いでしょう。
ここでは、ATRを使ったシンプルなFX手法をご紹介します。
ATRとRSIを使ったシンプルFX手法
ATRとRSI(相対力指数)を使ったシンプルFX手法を解説します。
両方とも同じオシレーター系に分類されるインジケーターです。
ATRとRSIの見た目は非常に似ているものの、RSIが主にシグナルとして機能するのに対し、環境認識としての役割が強いATRの組み合わせは相性に優れています。
- 【ATR(Average True Range)】トレンドの勢いや押し目としての整合性を見る
- 【RSI(Relative Strength Index)】トレンドの発生や売買判断の基準に使う
具体的に、ATRとRSIを使ったシンプルFX手法では、それぞれ上記の役割をするのが基本的な考え方です。
大前提として、RSIの使い方を理解している必要があります。
ドル円チャートを使って解説すると、まず注目すべきは「現在のトレンド」です。
例えば、上記のドル円チャートでは、下降トレンドに対し、ATRのボラティリティは頭打ちが見られています。
3度見られた頭打ちに対し、高値と安値の更新幅は小さいです。
つまり、下降トレンドを形成するも、実際には下降トレンドの勢いは弱くなっています。
一方で、RSIが30%を下回り、「売られ過ぎ」→「買いシグナル」を起こしました。
トレンド転換が起きる可能性を考え、次の押し目で買いエントリーです。
エントリー判断は、RSIがトレンド転換を示した後、ATRの動きを見て行います。
こちらのドル円チャートでは、赤丸の価格でRSI30%以下、青丸の地点で買いエントリーです。
- 最初にRSI30%以下(赤丸)となった時、ATRは底打ちを見せた
- その後、ATRは再度同じ水準になるも、RSIは30%以上で推移
上記の展開が見えており、ATRの示すボラティリティが底打ちを下にも関わらず、安値を切り上げる展開をRSIが見せているのが重要です。
次に利益確定の水準を考えましょう。RSIとATRの両方が頭打ちになった時に利益確定を考えます。
エントリー時とは逆転の発想で、ATRによるボラティリティの減少と、RSIのシグナルから判断可能です。
上記のドル円チャートのトレンドを追うと、上昇トレンドの高値、ATR低下、RSI70%以上で買われ過ぎが重なります。
その後、急落が起きていますから、利益確定水準としては理想的です。
さて、ATRとRSIのシンプルFX手法を解説しました。まとめると、損切りをトレンド起点と考えた安値付近にすると約20pips、利益確定は約190pipsです。
リスクリワードは1:9以上とかなり優秀になります。
最初は少し難しく考えてしまいますが、取引経験を積むごとに早く判断できるようになるでしょう。
基本的に見ているのは、値動きとATR・RSIだけなのでシンプルです。RSIだけで売買判断をするより、ATRを加えることで精度を上げられます。
ATRとは? まとめ
今回は「ATRとは?基礎からFXで使える手法まで徹底解説」のテーマでした。
ATRは、価格のボラティリティを分析する手段として有効です。
初心者のうちは、ボラティリティの重要性に気づけないケースはほとんどでしょう。
とは言え、FXでは値幅こそ利益の元、ボラティリティが大きいときこそFXのうま味があります。
ATRは、他の手法と組み合わせて使うことで、同じ手法でも成績が大きく変わるでしょう。
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